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【第3回】窓・鏡


sourceone.hatenablog.com

 

-どうも、どこかの誰かです。早速いきましょう!今日はお二人にお越しいただいてます。まずは自己紹介お願いします。

(鏡)どうも、鏡です。フロート板ガラスと金属でできてます。

(窓)こんにちは、窓です。同じくガラスでできてて、廊下と扉を挟んで鏡さんの向かいにいます。

 

-二人はお知り合いですか?

(鏡)直接話したことはないですね。私たちの間には廊下と扉があって、扉は基本しまってますからね。話せるとしても扉が開いて閉まるまでの一瞬なので、なかなか難しい。

(窓)そうです。扉さんとはお互い話したことはあるんですけどね。共通の友人という感じです。

 

-窓くんの「正面」ってどちらなんですか?鏡さんは鏡面側が正面だって分かりますけど。

(窓)実を言うと僕もよくわかっていません。光も熱もどちらからも出入りしますし、向きってないんじゃないかって。「窓の外の世界」っていう表現がありますけど、僕からすると外も中もないんです。あるのは屋内と屋外だけ。

 

-そう考えると、窓って別にガラス板で仕切られていなくても窓ですよね。枠だけでも窓。

(鏡)壁がないと存在できないのは私もそうですね。床とか天井の鏡は、ないことはないけれど。

(窓)天窓とかもありますし、壁である必要もないかも?

(鏡)あるところまで壁とか天井みたいな均質な板だったものが、窓や鏡に差し掛かると急に別のものに変化するじゃないですか。テクスチャーの急激な変化、文脈の切断、「面に空いた穴」というところは、私と窓くんで同じだなって思ってました。

 

-おっしゃる通りですね。さらに面白いのが、窓くんと鏡さん自身も均質という点でしょうか。

(窓)そうですね。まあ、面積比率の問題だと思います。僕らはやっぱりアクセントですからね。

 

-例えば、屋外の風景が窓くん経由で鏡さんに映る時って何か特別なことが起きるんですか?

(鏡)私たちが会話できるとしたらそういう時だけです。窓くんを通った光が私に届いて、私がそれを反射して、その光が窓くんに届けられる時だけ。とはいっても、窓くんが透明で見えないので、いるのかどうかもよくわからないんですが。。

(窓)そうだったんですね。実を言うと、僕自身が透明なので、鏡さんに僕のことが見えているかもわからなかったんです。屋外の風景が鏡さんに映っているから多分見えてるだろうっていう、推測の域を出ないんですよね。

(鏡)どこかの誰かさんが扉をあけて間に入ってくれるまで、相手が聞いてくれているっていう確信を得たことはありませんでした。感謝です!

 

-うおー、なんかいい仕事してる気がする(笑)。僕も二人には毎日お世話になってますから、恩返しと思ってもらえれば。

(窓)というか、なぜ今回は僕ら二人をセットでインタビューすることにしたんですか?

-窓さんにインタビューして欲しいというリクエストがリスナーの方からありまして。もともと鏡さんにはインタビューしたいなと思ってたんです。窓と鏡って似てるところも多いので、三人で話してみたら面白いかなと思って。

(鏡)どこかの誰かさんを毎日観察させてもらってますよ。最近肌荒れが落ち着いてきたようで何よりです。

(窓)まあ、基本はあれこれ言いたくないんですが、夜中電気つけて雨戸しめずにいるのはやめた方がいいかもですよ(笑)。

 

-そんなとこまでちゃんと見てるんですね。僕は二人から逃げられないっすね(笑)。でも、これだけ普段関わっているのに、こうやって話してもみないとお二人のモノ像が見えてこない。僕がそのまま通過するか、僕が全反射してくるか、そのどっちかで。

(鏡)それが私たちがいい仕事をしていることの何よりの証明です。ありのままを映すってそういうことですからね。

(窓)干渉できないのは辛いですけどね。気づかれない、主張しないことが僕らの仕事ですから、そこはもう割り切るしかないんです。

(鏡)つらいことも多いですね。私は私のことを冷酷だと思ってますよ。否応無く突きつけますからね、現実を。

 

-正直に言いますと、お二人のような「穴」との付き合いって難しいと思うんです。穴を覗いたり穴に落ちたりするのは怖いけれど、何もない面と比べると、穴が空いている面の方が絶対に面白いっていうやりづらさ。

(窓)一つの思考実験として、自分の心を一つの部屋として表現してみてください。あなたの心の部屋は、どういう平面形で、天井高はどれくらいで、何人が入れて、みたいなことを、想像してみてほしいんです。どうですか?窓や鏡、欲しくないですか。相当特殊な場合を除いて、僕らがいる部屋は、僕らがいない部屋よりも面白いものになるんじゃないかと思います。

(鏡)具体的にどう面白くできるのか、私にはまだわかりません。窓くんも私もあなたの見たくないものを見せてしまう可能性もあります。それでも、もし選べるのなら、勇気を出して私たちがいる空間を選んで欲しいですね。その方が面白いかもしれない、という可能性に対して、オープンであって欲しいです。

 

-いいお話を伺いました。まだまだ対話できる気がしますが、時間が迫ってきたので、今回はここで締めさせていただきます。せっかくなのでこの扉、しばらくあけときますね!

(鏡)今日はありがとうございました。

(窓)まだまだ話せるので、また呼んでください!

 

-こちらこそ、ありがとうございました!