【第1回】コンセント
-どうも、どこかの誰かです。本日はお越し下さりありがとうございます。まず簡単に自己紹介をお願いしますね。
皆さん初めまして。日本でコンセントやってます。普通にある、穴が二つ空いてて、それが縦に二つ並んでるタイプです。よろしくです。
-これ毎回疑問に思ってるんですが、上の方と下の方は、それぞれ別の方なんですか?
私の場合は四つの穴で一人ですね。コンセントによって違いますけど。延長コードさんなんかだともっと多いこともありますね。私は聖徳太子って勝手に呼んでます(笑)。
-確かに、10台とか一度につなげる方凄いっすよね...初めて使われたのはいつですか?どんな感じでした?
工事が全部終わって、通電のチェックをやる時が初めてじゃないですかね。不思議な感覚でしたよ~。空っぽだった私の中からこんなにエネルギーが出てくるなんて、思ってもいませんでした。私たちって電線が繋がれる前はただのプラスチックの箱なんです。外身は本当にシンプルな箱で、中身はちょっと複雑だけど空っぽで。
-初めて繋がった機器は何でしたか?
私たちとちょっと言葉の感覚が違いますね。私たちは、なんていうか、ホテルみたいなもので、次はどの機器さんが来るかなって待ってるような感じです。だから私たちの間ではお客さんって呼んでますね。私の初めてのお客さんは、Wifiさんと固定電話さんのお二人でした。
-おお。ということは、かなり責任重大ですね。
そうですね、家のインフラです。やりがいのある仕事ですよ。
-お客さんたちと喋ったりとかするんですか?
もちろんです。お客さんとだけじゃなくて、他のコンセントとも話してますよ。誰のとこに今どんなお客さんがいるのかは電流の大きさで大体わかりますし。お客さんについて内輪で噂話とかしてます(笑)。
-そう考えるとコンセントって結構色々ありますよね。アース付きの方もいますし、LANとセットの方もいる。
エキゾチックな感じがして、そういうのちょっと憧れますよね。アース付きってすごくないですか?地球と会話できちゃうなんて。
-地球と会話!想像できない(笑)。
-今までに会ったお客さん、もしくはコンセントの中で、一番面白かった方はどんな方ですか?
私はずっとWifiさん固定電話さんとお付き合いしてますが、他のコンセントから結構面白い話は聞きますね。冷蔵庫さんとか掃除機さんは常連さんで安定感があります。レア客の方がマニアックで話すと面白いなんて話も聞きますね。フォンデュマシンさんとか。
-確かに、フォンデュはレアキャラ感ありますね!
たこ焼きマシンさんとかもそうですね。年に数回会えるか会えないかなので、今年は誰担当??ってちょっと内輪で盛り上がりますね(笑)
-でも、常にお客さんと繋がっているのは疲れませんか?
私たち自身は特に仕事はしていませんから、疲れるってのも変かも。明確な役割を持っているお客さんを羨ましいなって思うこともあります。でもお客さんは私たちと繋がっていないと誰とも話せなくて悲しいと仰ってくれます。私がいるおかげでWifiさんと固定電話さんが出会えたと考えると、少しは世界の幸せに貢献できてるんじゃないかなって思いますね。
-なるほど、お客さん同士の交流の場になっていると。電気だけに(笑)
うまい(笑)。とはいっても、私はたまたまそうなだけです。お客さんのいないコンセントもいるはずです。電流が流れればお話はできるんですが…あのあたりにいるってのはわかってるんだけど、もう何年も話せてないコンセントもいます。あまりにお客さんがつかないと私たちも壊れちゃったりするので、ちょっと心配ですね。
-最初の方で仰っていた「中身は複雑だけど空っぽ」という表現が、個人的に結構ずっしりきました。自分のことを言われてるみたいで。
それだけ聞くとまるで私がめんどくさい女みたい(笑)。でもね、空っぽであるからこそ、小さなことに幸せを見出せるっていう側面もありますよ。私たちが在ることで迷惑を被る人はいませんし、お客さんが頑張ってくれますから。私たちの価値は最低でもゼロで、マイナスになることがないんです。あなたの価値はどうですか?
-そうですね…まあ、一般的に人は生まれながらにしてかけがいのない価値を持っていると言われてます。僕の価値は負の方に行ってるなって思っちゃうことはありますけどね。
固定電話さんと似た話をしたことがあります。固定電話さんは使われなくなってきてて最近気分が沈んじゃってるみたいです。相方がWifiさんなのもちょっと辛いですよね…彼にはこう伝えました。あなたは今まで、人が寝てる間もずっと電話線を見張ってた。詐欺電話を何度もキャッチした。その実績は誰にも否定できない確かなもの。自己否定なんてやめたほうがいいわ、無駄だもの。あなた自身にも否定できない実績なんだから。ってね。
-いやー、めっちゃいい言葉。ありがとうございます、ちょっと元気出ました。時間も来てるので…最後に、恒例の質問を。こんなモノと話してみたいってありますか?次はその方にコンタクトしてみます。
そうですねー。お客さんたちとは基本的に話してるし…あ、そうだ。私たちは基本的に永遠にエネルギーを供給できますが、そうじゃない電源の方の話を聞いてみたいです。具体的にはボタン電池さんかな。
-なるほど。連絡先分かるかなー(笑)。でも確かに、話せたら面白そうですね。アポ取れたら連絡しますから、ぜひ聞いていてください!
ありがとうございます。ラジオさんとWifiさんに、ウォッチしといてってお願いしておきます。
-本日はありがとうございました!今後もよろしくお願いします。
こちらこそ。次回も楽しみにしてます。