ふと思ったんだけど

言葉にすれば、何か分かるかもしれない

わが住む村

ほし氏さんにこちらの記事でオススメしてもらった山川菊栄「わが住む村」を読みました。

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長野の山奥の”限界集落”に行き、以前のその集落での暮らしを知る人の話を聞いたことを思い出します。神はディテールに宿ると言った建築家がいますが、学校で学ぶような歴史ではない、細かい歴史のディテールにも同様に神が宿るんだと、その時確かに感じました。その感覚がこの本を読んで蘇ってきた気がします。

日本民藝館という博物館に、柳田らが集めた民藝品がまとめて収蔵してあります。そこにいくと、わが住む村でも表現されている物語の宇宙を感じることができますが、はっきり言って途中で飽きます。民藝品の一つ一つはめちゃくちゃ面白いけれど、一堂に集めるとどうしても過剰摂取に陥り、中毒症状・拒否反応が出てきます。それが苦手で訪問以降僕は民藝から距離をとってきましたが、この本を読み、違う関わり方があってもいいと思い始めました。物語的・時系列的・体系的に整理されることで民藝もかなり消化しやすくなるんですね。

同時に、民藝の「全て」を見る必要もないと気づきました。そもそも全てを見るなんて不可能ですが、長野なり鎌倉なり行き着いた土地についての物語のディテールを知るだけで、ひとまずは十分だと思いました。学術的には物語のディテール間の比較と分析を行うことが必須となるのでしょうけれど、僕はその分野の学者ではありませんからね。これでだいぶ民藝との付き合いも楽になります。

この本、読み物として純粋に面白いということも申し上げておきます。この本は、作者の調査に基づき、明治から大正についてのオーラルヒストリーを取り入れながら書かれています。この時期の庶民の生活を描いた本ってあまりないと思うんですよね。僕は坂の上の雲とか江戸中期の時代小説しか読んだことがなかったので、この本で描かれた当時の生活スタイルは、僕にはかなり新鮮に映りました。

あともう一つ。高校の頃一部だけ読んでいつか全部読みたいなーと思っていた古典がありました。それがなんだったのか思いだせなかったのですが、この本に登場して思い出すことができました。更級日記ですね。ほし氏さん、おすすめありがとうございました!

 

今日の一曲。

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先に読んだオススメの感想。

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