たとえ要求することが悪だとしても
要求したいものを仮提出すべきだなと。否定されることの判っている内容だとしても、まずは意見を提示しないと何も始まらないよなと、結婚の話をするたびに思います。
結婚して相手に姓を変えてもらって入籍して男(=僕)は仕事で金を稼ぎ相手に家庭に入り子供を育ててもらうという僕の親世代の価値観を、僕が再生産するのは難しいです。絶対不可能ではないですね、僕の周りにはその価値観を再現している結婚例もあるにはありますし、専業主婦になりたいですと言っている相手を探せば良い話なので(見つけられるとは言っていない)。ただこの結婚モデルをデフォルトとして相手に暗黙の了解を要求することが悪だと僕は思うので、要求するならそれなりの根拠を示す必要があると思うのです。しかし困ったことに(僕自身はたまたま困ってはいない。探そうとすると困るだろうな、という意)、根拠なんて存在しないでしょこんなん。「今までそうだったから」は使えない。「社会がなんとなくそんな感じだから」というコンセンサスが幅を利かせていた頃は疑う必要がなかったので根拠も不要だけど、今その蓋を開けてみると根拠なんて一つもないわけですよ。
結婚願望のある同性の友人たちとこういう話をすると共感を得ます。「結婚はしたいし子供も欲しいけど相手にそれを押し付けるのは嫌」「人格として好きな人といたい気持ちを先行させると子供はおそらく持ちたくないと言うような相手との結婚になるジレンマ」「専業主婦になってくれと相手にお願いするのは正しくない」「相手は同じ程度の知識レベルであってほしいし、専業主婦ではなく経済的にある程度自立していてほしい」「仕事をしながら子供がほしいと思っている同程度の知識レベルの結婚相手の見つけ方が判らない」。最後のは切実ですよほんと。
とはいえど。とはいえど、やはり相手に結婚の相談をするのなら、片方納得を確保し両方納得を目指すためにも、姓はどうしたい?子供は、育児は、仕事との両立は?というハードと化した質問に対して、間違っていると分かっていても僕らは答えをまず仮提出しないといけないと思うのです。それで以ってこちらのもやもやが増すとしても、です。答えの仮提出そのものを否定する風潮があるとすれば、それは風潮の方が間違っていますよ。仮提出がないと誰も納得できないじゃないですか。
実は一番ハードな質問、姓じゃないですかね。どっちに統一するかなんて今時合理的根拠のつけようがないでしょう。僕は夫婦で新しい姓を作れればそれが一番いいと思うんですけどね。それがダメならせめて別姓を早く制度化しろよっていうね。
まあともかく、少子化とか若者の結婚願望が~とか騒がれていますけど、僕の男性としての感覚的にはこのあたりのジレンマや行き詰まりの影響が大きいんじゃないかなと思います。つっても大学院卒のコミュニティに限った話ですが。