最強転生主人公
前世で最強だった主人公が転生して、その能力を一旦隠してから徐々に頭角を表してヒーローになるというアニメ、僕はあまり好きになれません。いや、厳密に言えば、僕も一部そういうストーリーを好いている部分があり、それを好いてしまう自分が嫌い、ということになります。
自分も最強になりたいという思いはあります。無論、ここでいう最強とは超能力や魔術という文脈ではなく、この人のこれは最強だなと尊敬する人物がいれば、そういうものを色々とパクって自分が最強になりたい、という思いの話です。そういう自分を夢見ることで成長の方向性が具体化されるメリットはありますし、この類のアニメにはそうやって人に夢を見させる効果があるのかもしれません。
ただ、そういうアニメを見ていると、どうしても「努力や行動をせずに夢だけを見るのは卑怯である」という自分の価値観が介入してきます。なんていうのかな。例えば、自分が何かプロジェクトに名乗り出て、ある程度それを成功に導いたとしましょうか。そして後日、同僚から「やっぱり俺あの時その仕事に立候補しておけばよかったな」と言われたとしましょう。心理的な余裕があれば笑って流せるんですけど、例えば「じゃ手を挙げればよかっただろ」「お前が行動しなかった責任は自分で取りやがれ」「成果だけを見て軽々しく羨望抱いてんじゃねえよ」と怒鳴ってしまう自分も想像できるわけですよ。
成果だけを見て軽々しい羨望を抱くこと、あるいはそのような羨望の的にされることが嫌。前世で最強だったヒーローが転生先でも最強であっただけの話。その間には何も変化がなく、成長がなく、特別な努力もない。そんな軽々しいストーリーを好いてしまう自分は、間違っていると思っています。