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キスという問題

皆さんは人のキスを見ることはお好きだろうか。僕はあまり好きではない。というかそれを問うのなら、自分のキスが好きかどうかも問わなければならない。キスの時、行為者はいずれも目を瞑るイメージがあるが、それは自分のキスを見たくないからなんじゃないか、なんて思ったりもする。

現実において、というか日本においてリアルなキスに遭遇することは、西洋式の結婚式にでも参列しない限り、ない。その一方で、映画でキスシーンが描かれることは多い。そのせいかは分からないが、「キス=他人に見せつけるもの」というイメージが自分の中にあって、それゆえに、キスを見せられることに押し付けがましさを見出してしまう。君らの粘液交換を俺に見せるなと。

そういえば高校の文化祭のミスコンにカップル枠というのがあった。投票で選ばれるわけだが、よく考えたら、一体投票した人たちは何で選んでいたのだろう。顔面偏差値の合計なのか、相加平均なのか、相乗平均なのか。激しくラブラブなカップルが選ばれるわけでもなかった。どうせやるのなら、基準を明確に定めて公開審査会とかやって欲しいものだ。その基準を決める会議になら、是非とも参加したい。ま、ともかく、一等?のカップルはステージ上でキスさせられていた。させられていたというのは当時の僕の主観であって、あくまで本人らの希望なのかもしれない。だとしたらそれはそれでアレで、そんなに見せたいの??っていう感じではある。どうせなら一等に選ばれて、いや、信念に反する、とかいってキスしないくらいの強烈な人間に出てきて欲しかった。まあともかく、一等が発表されて、キスどうぞー的な感じで観客が煽る。その瞬間に照明が消えて、行為は暗闇の中で行われ、ほぼ見ることができない。これを文化的と呼ぶかどうかはかなり怪しいのだけど、面白い文化であったことは間違いない。文化祭自体は嫌いだったが、それが面白くて、その瞬間は3回とも観に行った。

一部の結婚式形態ではキスがあるが、合理的だなと思う。マスクを外しキスをすることが、相手に全幅の信頼を寄せていることの証左であると、コロナを通して不意に学んでしまった。ある意味、真に添い遂げる気持ちがなければできないことなのだ、キスは。僕はここ一年キスをしていない。相手への思いやりのつもりでいるが、実はただ冷酷なだけなのかもしれない。次にするのは、いつなんだろう。